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【おすすめ本】「仮説思考 BCG流 問題発見・解決の発想法」早い仮説で仕事のスピードと質がアップした話

こんにちは。オリジナルプロダクトグループのせいちゃんです。

私の趣味は読書。だいたい月に10冊程度は本を読んでいる読書マンです!

せいちゃん本棚
最近の本棚(一部)

今回ご紹介する『仮説思考 BCG流 問題発見・解決の発想法』は、私の仕事の悩みを解消してくれた、本当に実践的で役立つ本です。

特にこんな人におすすめします!

・物事を始める時に全体像を描くよりもまず一生懸命情報を集めることに集中する人

・失敗を恐れていきなり完璧な答えを出そうとする人

・局所的な改善は頑張るけど俯瞰的な視点は苦手な人

・・・というか、これ全部、この本を読む前の自分自身の姿なんですけれど。

本の感想だけならAmazonで山ほど読めるので(125件のカスタマーレビュー!)、この記事では、私が仮説思考を仕事で実践してみて学んだことを書きたいと思います。

『仮説思考 BCG流 問題発見・解決の発想法』(内田 和成 著)とは


BCG(ボストン コンサルティング グループ)は世界世界48ヶに拠点を構える、世界有数のコンサルティングファーム。

『仮説思考 BCG流 問題発見・解決の発想法』は、BCGに長年所属し日本代表まで勤めた著者が、自らの体験や、ビジネスの現場によくある事例を基に、仮説思考の実践方法について解説した本です。

「仮説思考」とは、情報が少なかったり分析の時間が足りない中でも、自分なりの仮説を立て、解決策を効率よく導き出きだそうとする考え方です。

著者は仮説を「まだ証明はしていないが、最も答えに近いと思われる答え」と定義し、早い段階で仮説を立てる「仮説のスピード」を重視しています。素早く仮説を立てることで、解決策の実行、検証に時間を割くことができるからです。

素早い仮説思考を繰り返すことで、決断力や先見性も養われ、問題の全体像を把握する力がついていきます。

情報収集が目的化してしまっていた私と「仮説思考」との出会い

仕事で与えられたプロジェクトについて上司に報告するとき、苦労して集めた情報をひたすら伝えていると「結局何がしたいの?」とよく言われました。上司は全体像を理解した上で、やることを1つ1つ決めていってほしかったようです。

自分のやっていることを振り返ってみると、本来の目的を忘れてただひたすらに情報を集め、本質から遠く離れた細かな部分を一生懸命考えていました。

元々プロジェクトでやることを決めるための準備段階として情報を集めていたのに、情報を集めることが目的になっていたんです。

アウトプットに繋がらないインプットばかりでいつも忙しく、努力しても成果が出ないどころか評価が下がっていく状況。苦しい思いでいっぱいでした。

今までは否定していた「仮説」の力に気づいた



この本に出会ったのはそんなときでした。

帯に「仮説から始めれば作業量は激減する!」と書いてあって、自分にぴったりじゃないかと思ったのです。

著者は新人コンサルタント時代、「枝葉の男」だと評されていたそうです。

細かい分析は得意だし、ちょっとしたアイディアをすぐ思いつく。一方で肝心の問題全体がどんな構造になっていて、どの課題が最も重要であり、そこから手をつけて解決を図るべきだというような大きな話、すなわち幹の話を作るのが作れないでいた、というのがまるで私みたいだなと思わず共感しました。

かつて上司が「全体像を意識して早い段階で仮説を立てろ」みたいな話はしていましたが、私は「情報も知識も経験も足りてない状況で、そんな無理矢理仮説をたてても間違ってるだけだから意味ないじゃん!」って思っていました。

でも、上司の仕事ぶりを振り返ると、少ない情報でガンガン判断を下して素早く実行していたことに思い至りました。

もしかしてその秘密は「仮説」にあるのかもしれない。膨大な知識や長年の経験やすぐには身につかないけど、心構えや考え方ならちょっと気をつけて考えを変えるだけで明日から変われるはず!

この本が壊した「仮説」についての固定観念

「情報は多いほどいいわけではない」

情報が多ければ多いほど、良い意思決定ができるというのは、間違った思い込みである。[…略…]つまり意思決定をするときは、いますでにある選択肢を狭めてくれる情報だけが役立つのだ。

出典:仮説思考 BCG流 問題発見・解決の発想法(ISBN:978-4492555552)

いつまでも選択肢を広げる情報収集をすることは、意思決定のタイミングを遅らせる行為であり、今日のビジネス環境においてそれはリスクである、と著者は言います。

確かに選択肢や情報が多すぎると、どれを選んで行動すればいいかよくわからないですよね。
これを読んだ時、ある動画を思い出しました。

バリー・シュワルツ: 選択のパラドックスについて(Youtubeに飛びます)

「選択のパラドックス」とは選択肢が多いほど私たちは不幸になってしまうという話です。

仕事のときも、なるべく選択肢をたくさん作ってから絞っていくよりも、ある程度選択肢が見えてきてからどれを選ぶか考えていこうと思いました。

「仮説は間違っていてもいい」

間違った仮説でも効用がある[…略…]仮説思考のほうが網羅的なアプローチよりも早いと断言できる[…略…]ある一点を深く調べたレポートのほうが、問題の本質に迫れる可能性が高い上に経営上の打ち手につながりやすい。3ヶ月後の結論は網羅的アプローチよりは質が高いものができる。

立てた仮説を後生大事に自分ひとりで抱え込むということさえしなければ、間違いや不十分なことをおそれる心配はないのである。

出典:仮説思考 BCG流 問題発見・解決の発想法(ISBN:978-4492555552)

かつの私は、「間違った仮説を立てるなんてムダ!」という考えだったので、仮説をたてることで、情報収集の範囲が狭くなるかわりに深くなる、という考え方に衝撃を受けました。

「間違った仮説でもよいので、できるだけ早く仮説を立て、問題の本質を見つけていこう」と思いました。

仮説思考を仕事で実践して起きた2つの変化

最初は仮説なんて絶対に間違ってるから嫌だって気分になりました。

しかし慣れてくると、結論から考えて、仮説を立てては失敗するを繰り返していくほうが、求めていた正解まですぐにたどり着けるようになる、ということが体感できるようになっていきました。

1. 判断スピードが早くなった

今まではまず判断するために網羅的に情報を集めていました。

仮説思考を実践するにあたって、「今回はこの製品をこのように作っていきたいんだから、きっとあのやり方をすればいいんじゃないかな?あのやり方で合っているかを確かめるためにはあの情報が必要だな」と全体像と目的を意識しながら必要な情報を選ぶようになりました。

結果、物事を決定するまでの速度が速まりました。

2. 相談・報告の質が上がってより深い議論ができるようになった

今まで、上司に仕事の相談をするとき、「こういう情報がありましたが、どうすればいいですか?」と情報ベースで話していました。そうすると、「それで?結局何が言いたいの?」と、話しが発展しないことが多かったです。

仮説思考を学んでからは、目的から出発して仮説を述べるようにしました。

「最終的な目標がこれなので、これをやる必要があります。いくつか選択肢はあるけど、その中でも私はこれを選んだほうが良いと思っています。なぜかというと・・・」という感じですね。

すると、上司から「なるほど、じゃあこれについては私はこう思うけど君はどう思う?」と返ってきて、経験と知識が豊富な上司の考えをうまく引き出しつつ、発展した議論ができるようになりました。

仮説を発信することでよい循環が起きる

仮説思考が苦手な人は、間違っていてもいいので、まずは仮説を立てて発信すると、仮説思考のスキルが身につくのでオススメです。

私も始めたばかりの頃は、なかなか仮説をまとめることができませんでした。

以前、間違いを指摘されることを恐れて、最初から完璧な正解を出そうとした結果、1人で悶々と考えたけどどうすればいいか全然わからなくて悩んでいた時期がありました。そのときは、間違っていてもいいからとにかく自分の考えを人に話してみたところ、よりよいアイディアが広がって一気に解決に向かったのを思い出しました。

そこで、相手に話すことを目標にして考えるようにしました。

・最終的な目的は何か

・その目的を達成するために必要なものは何か

・選択肢が複数ある中で、なぜそれが必要だと思うか

このフレームにあてはめて考えることで、仮説思考が苦手な私でもちょっとずつ仮説が組み立てられるようになり、実際に人に伝えられるようになっていきました。

仮説思考を身につけると、間違いを恐れずに人と深い対話ができるようになる、という思わぬ副次効果があることに気づきました。

ただし、仮説が嫌いな人もいるので注意

実践して気づいたのですが、相手によっては、あまり憶測で考えを述べられるのが嫌いな人もいます。

そういう人に仮説思考のスタイルで報告すると、「なんでそう言い切れるの?他のパターンもありえるよね?」と突っ込まれてしまいます。

そういう人に対してはあまり合っているかどうかわからないような仮説を述べることはせずに、ただひたすら事実に基づいた情報やほぼ100%の仮説や推察を伝えるようにしています。

まとめ

最初は「仮説思考なんて情報が少ない中で考えをまとめていくから全然違う答えが出てしまって逆に遠回りして時間がかかっちゃうんじゃないの?」と疑心暗鬼でした。

しかし、現実の仕事は、完璧な正解は誰にも分からないながらも、やることを決めていくという面が強いので、100%をいきなり狙うよりは、まず最初の段階で、50%の精度でもいいから仮説を作って発信した方が、最終的に100%により早くたどり着けるんだなと実感しました。

今後の課題は、仮説のさらに前の目標設定・問題設定が間違っていないのか、本質を考える力を身につけることです。仮説を立てようとしている現状の問題自体が間違っているのであれば、仮説を立てていっても時間の無駄なので。

これからは仮説思考を磨いていくのはもちろん、本当の問題は何かを最初に落ち着いて考える時間を取っていこうと思います。(この問題については、同じ著者の『論点思考』という本がオススメです!)