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仕事は現場で起きている。実際に見たのか?触ったのか?

野山です。

最近、いろんな会議や打ち合わせに同席していて、ちょっと気になることが増えてきました。話のピントが合ってないというか、「そこじゃないんだよな」と感じる瞬間が多いというか。僕が言いたいことってこういうことなんだろうなと思ったので、今回は「実際にそれ見たんか、触ったんか」をテーマにお届けしたいと思います。

パナソニック時代に叩き込まれた「現場主義」

僕は20歳でパナソニックに入社して、工場で商品設計の仕事をしていました。

で、工場ではいろんなトラブルが起きるわけです。「こんな現象が起こっている」「不良がたくさん出た」「これをしたらこうなった」って、現場の人たちから口頭で報告が入る。

若い頃の僕は、その情報だけで判断して、見当違いの方向に行っちゃうことがたくさんありました。

なぜか。

報告する人の解釈がものすごく入っているからです。構造を理解していない人たちがいろいろ判断してしまうので、間違った方向に行きやすいんです。

だからこそ、当時の上司には「とにかく現場に行け」「現場で自分の目で確認しろ」と徹底的に言われました。

「事件は会議室で起きてんじゃねえ、現場で起きてるんだ」

僕らの世代で言うと、「踊る大捜査線」の青島刑事のセリフですね。

会議室で「ああしろこうしろ」「これが正しい」って話をしている上層部に対して、現場に出ている刑事が言う名シーンです。

これ、刑事ドラマだけじゃなくて、ものづくりの現場だけじゃなくて、広告だとか、コンサルだとか、全ての仕事においてめちゃくちゃ重要なんですよね。

一次情報を取りに行くこと。

コンサル業界でも、マーケティングの世界でもよく言われる話です。でも、僕が警鐘を鳴らしたいのは、「一次情報を収集した気になっていませんか?」ということです。

ルッカーを見ただけで「一次情報を取った」と思っていないか

うちの会社では、DwHとルッカーを使ってデータを蓄積→見える化しています。データを収集するっていうフローは、システム的にやっているので、デジタルな数字は確かに一次情報なんですよ。

だから「ルッカーはちゃんと見てます、一次情報を見に行ってます」っていう人が多いと思います。

でも、それだけで本当に「現場」を見たと言えますか?

実際にどのバナーを見たら、どんな動画から、どのクリエイティブをクリックしたら、どこのページに行くのか。それがメタで流れているのはどういう形で出ているのか、Yahoo!はどういう形で出るのか。

コンバージョンが多いのはiPhoneなのか、Androidなのか、PCなのか。

実際に自分のスマホでクリックしてみて、画像がすぐに出てくるか、記事が出てくるか。

それで実際にクリックしてみる。名前とかメールアドレスとか電話番号を入れて、SNSに誘導されるのか、電話がかかってくるのか。

こういうことを体感しないと、何もわかんないんですよ。

数字ばっかり話していて、「何がいい、何が悪い」って言っても、改善が絶対にできません。

改善しないといけないのは、ただクリエイティブの文字をいじることではなくて、ユーザーの体験を変えることだからです。

何がおこなわれているからこの数字になっているのか。「質」と「量」をちゃんと体感して、自分でアウトプットを出す。

実際に自分が見て、触って、どんな感想を持つのか。それによってどんな仮説をつくれるのか。

自分としての結論を持ってから人と議論をする。考え方をもとにアクションして、フィードバックをもらう。

こういうことを繰り返していかないと、改善もできなければ、成長もしません。

「わかったつもり」の罠

僕が入社1年目のとき、上司から質問されて

「これは先輩の◯◯さんがこう言ってたんで、それでいいと思います。先輩は僕以上に詳しいし、その判断が正しいと思います」

って答えたんですね。そしたら

「それやったら、お前何すんねん」

と言われました。

「お前が一番ド素人なんやろ。ということは消費者に一番近いわけやろ。だったらその立場、その視点でお前はどう思うかって意見をちゃんと出せよ。それがお前の役割ちゃうんかい」

完全にその通りだなと思ったし、今も鮮明に覚えています。

確かに、わからへんことはたくさんある。でも、わからなくても、わからないからこそ、やる。

見て、触って、考えてみて、意見を交換して、フィードバックをもらう。

このプロセスが、非常に大事な成長のプロセスなんです。

間違うことなんてまったく問題ない。とにかく当事者として参加することが大事なんです。

生成AIの時代だからこそ、現場離れが加速する

生成AIが生まれて、世の中がどんどん便利になっている。今後は、もっと現場離れが加速します。

AIが数字を解析して、クリエイティブをつくって、改善プランを考えて、それが「仕事」として成り立つ時代。そうなると、「消費者がどんな体感をするんだろうか」みたいなことをちゃんと考えられる人は確実に減っていきます。

人間がやることは、全部AIがやったことを、なんとなく議論するだけ。

それで成長なんてしないよね、って話です。

だからこそ今のうちからすごく大事にしてほしいのは、一次情報の数字をはじめ定性的な話を大事にしながら、「自分は」の視点で考え、行動し続けていくことです。

「やらない人」に成長はない

アフィリエイトをメインで扱っていた時代、アカウントプランナー全員に「まずアカウントを作ってログインして実際に見てサイト作ってみて」と伝えていましたが、誰もやりませんでした。

LPを一度自分で書いてみる、GTMでタグを入れる作業を実際に触ってみる。こうした実体験をすることで、全く違う視点で議論ができるようになるのに。

一度自分でやってみるだけで、会話の質が劇的に変わります。なぜその構造になっているのか、どこでつまずくのか、実際に触らないと本当の理解は得られないからです。

実際に触ることで、アンテナが自動的に高くなります。その積み重ねがあるから、勘所が良くなる。つまり、手を動かす人だけが感度を上げられる、ということ。

しかし、基礎となる経験がないと、「知っている」という蓄積がないと、勘所は磨かれません。問題は、自分の理解が浅いということに気づいていないことです。

データを見て、数字を追って、「こうすればいい」と言っても、実際に作ったことがない人が会議室で議論しているだけでは、本質的な改善には繋がりません。

現場感覚こそが真の強み

僕が最初にメディアを運営し、メルマガを書き、LPを作ってきたのは、非常に意味があったと思います。現場から積み上げてきた人に独特の自信があるのは、川下から経験しているからです。

松下幸之助も豊田佐吉も、「困ったら現場に行け」「お客さんに聞け」と言っています。どんな広告が表示され、どんなバナーをクリックしたらどういう流れになるのか、実際に体験することが重要です。

つまり、当事者として参加することが重要なわけで、僕はいまも時間があればいろんな商材のLPを見に行って実際に申し込んだり、拾えるならば具体的な数値をチェックしたり、比較したりしています。

これは偉いという話ではありません。ここまでするのが普通だと思っています。逆に、ここまでしていないと、土俵に立てないのではないし、ゲームに参加できないと思っています。

もう一度問います。「それは、実際に見たのか?触ったのか?」

わかった「つもり」になってはいませんか。会議室にいるだけで、仕事をした気になっていませんか。

仕事は現場で起きています。データの数字だけ見て、わかった気になってはいけません。

触れて、見て、体感する。

そして、自分の意見を持とう。

それが、a-worksで働く上での基本中の基本です。