野山です。
今回は、「何でも面白がる」ということについてお話ししたいと思います。これは、人生を豊かにする上でめちゃくちゃ大事なことだと思っています。
野球を「観ていられなかった」少年時代
僕の親父は、阪神の試合を1回の裏から9回まで、ずっとテレビの前で観戦している人でした。ビールを飲みながらずっと、ああだこうだ言いながら野球を観てる。
僕は小学校3年生から6年生まで野球をやっていたけれど、野球少年だった当時、「野球を観る」ことの何が面白いのかわかんなかったんですよ。
だって、野球は「自分がやる」のがおもしろいだけで、人がやってる野球を観るのは別に好きじゃなかったから。
文脈がわかると「観ることができる」
時が30年ほど流れまして、今はどうかと言うと、観れちゃうんですよね、1回から9回まで。
なぜか。それは、文脈というものがちゃんとわかってるからです。
阪神タイガースがどういう歴史をたどったのか、今の監督はどうで、どんな補強をして、クリーンナップはどうで、巨人とのゲーム差がこうで、優勝するためにはなにが必要なのか、みたいな話。
選手一人ひとりの情報もそうですね。いま投げているピッチャーは5年前のドラフトで6位だったとか、去年イースタンリーグでいい成績を挙げたから上がってきたとか、今年は新人王取れそうだとか。
そういう話がわかればわかるほど面白いんですよ。
子供のころとは違って、予備知識がある状態で見てるから面白い。いろんな歴史が時系列で繋がってるから、より面白く感じるんです。
周囲には阪神好きがたくさんいるので、情報を多く持っていると、その人たちとマニアックな話で盛り上がるのも面白いです。
競馬の人たちも面白がり方がすごいですよね。血統、育成牧場、レースや騎手との相性とか。要するに、スポーツじゃないんだろうな、ロマンを走らせてるんだみたいな。いろんな角度から面白がってるわけです。
つまり何が言いたいかというと、人から「これ大事だよ」「やっておくべきだよ」って言われたことに対して、興味がないからってすぐに「わからないですね」って返すんじゃなくて、なぜそう思うのか、どんなことがあってそう思うのか、っていう部分にちゃんと向き合うべきなんです。何でも面白がれるようになると、得なんですよ。
「なんでそう思うの」っていう話とか、「今まで何年もこんなことやってきた」みたいな話を聞いてると、何か興味出てくるじゃないですか。情報をもらえると興味が出てくるので、文脈を全部繋いでいったり、構造を「こういうことについてみんな面白がってんだ」「これが面白い、大事って言ってんだ」っていうところをわかるようにすると、ピントが立ってくる。
そうすると、先に文脈とか何も知らない中で何かを見たときに「これ面白いな」ってなるわけです。嗅覚が鋭くなるというか。
仕事での応用と人間関係の深化
何でも面白がれるようになると、人生が楽しくなります。楽しめるに近づくし、面白がれるといろんな情報が入ってくるようになって、「やっぱり俺はこれが好き」「これをやりたい」って思えるようになる。
仕事でも同じです。例えば自分がどこかのクライアントを担当することになったとして、「なんでこの数字こんなふうになってんだろう」と深堀っていかないと、仕事が面白くないんですよ。いろんな観点で見るから、いろんな論点が出てくるわけです。今までどうだったんだろう、なんでこんなに数字が悪いんだろうか。
「商品が悪いですね」で終わりじゃなくて、どんな配送フローになってるんだろう、どんな人がカート落ちになってるんだろうかとか。そういう興味やルーツに向き合わないと、大きなブレークスルーも作れないし、面白くない。だから何でも、まず文脈や情報みたいなものをしっかり見ながら、この人たちは何が面白くて向き合ってるんだろうなみたいなことを見ると、人生にポジティブな影響を与えてくれるんです。
そして、深く知るということは人間関係も深くします。a-worksが依頼している会計事務所の森岡先生は野球がめちゃくちゃ好きなんですけど、先日すごく肩が痛かったときに「35回連続登板した後の阪神背番号36左腕の田村みたいな肩の重さです」って言ったら、森岡先生にめちゃくちゃウケたんですよ。一般人には全く伝わらない例えなんですけどね。
相手からすると「そこまで深く知ってて、そこで例えてくれるんだ」っていう嬉しさがあるんです。こういう、深くわかってる人同士にしか通じない表現をしていくと、超仲良くなれる。おそらくこれは敬意でもあるんですよね。それぐらい深く知るっていうことは、深くいろんなことを考える勉強にもなります。
みんなが知ってる人で言うと、田村さんですね。彼はすごい通販オタクで、かつ、女性も好きなので、何でも恋愛で例えてくるんですよね。「誰々と誰々が付き合ってたんですけど別れたんですよね」とか言うと、「解約の理由は商品が悪いんですか、効果が感じられないとか言ってるんですか」「離脱防止の施策をしたんですか」とか「解約後のコールはどんなアプローチだったんですか」みたいなことを言ってくる。めちゃくちゃ面白いし、実際、すごく勉強にもなります。
「興味を持つ」から、「面白がる」へ
みんな、興味を持つことは大事だって思ってると思います。「いろんなことに興味を持つことが自分の幅を広げたりとか仕事の質を高めることに繋がるよ」みたいな。でもそれだけで終わってほしくはなくて、「面白がる」とは、興味を持つよりももう1段上なイメージです。
いろんな人たちに会って、「これについてみんながなんでこんなに楽しんでるのか」とか「そこに対して何が起きてるのか」とか、興味を持って、その人たちがどんなふうに楽しんでるかを知り、周りの情報を全部集めて、多面的に見る。そこからさらに「深掘る」っていうプロセスを踏むと、「面白がる」が生まれます。
当たり前で終わらせずに、もう一歩深く踏み込むこと。人生が楽しくなるから面白がるんじゃなくて、深いところを知っていくプロセスそのものが面白いんです。だから「興味を持とう」から始まって、「面白がろう」なんですよね。
それと、面白がる対象の幅や場所や人を増やすと、自分よりすごい人と仲良くなりやすいっていう副次効果もめちゃくちゃあります。特に若いメンバーは、ちょっと下心でもいいからそういうことを意識すると、自分よりすごい人とどんどん距離を近づけられるはず。Tips的な観点でもいいから、面白がるといいよっていう話です。
まとめ
面白がるために必要なこと。
- まず情報を取って、文脈を整理する
- 興味を持ったら、深掘りする
- その人たちと同じ目線で話せるようになる努力をする
- 深度の高い共感が人間関係を作る
それぐらい深く知るっていうことは、深くいろんなことを考える勉強にもなります。自分が好きなことを深掘って、その意味がわかる相手と楽しく仕事をする。これが豊かさに繋がっていくんじゃないかなと思っています。
何でも面白がろう。これを、意識してやってみてください。
