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ロート製薬の新ブランド立ち上げの舞台裏。発売2ヶ月で当初売上目標を達成した、スキのない販売戦略とスペシャル施策を公開!

目薬をはじめとするアイケア商品を主力に、化粧品や一般用医薬品など幅広く商品を展開するロート製薬株式会社。2023年には創業から124年を数える、日本を代表する老舗企業です。

2022年6月、ロート製薬さまから「a-worksに、新しいブランドの立ち上げからすべて手伝ってもらえないだろうか」とお声がけをいただきました。これまで主に「既存ブランドのセールスを拡大するための支援」に評価をいただいてきたa-worksですが「新しいブランドの立ち上げから携わる」経験は皆無。不安の声もあったものの、これまでの知見をもとに「セールスを念頭に置いたブランドづくり」に挑戦する意義はとても大きいと、チーム一丸となって本プロジェクトに取り組むことを決意しました。

コンセプトやタグラインの設定、クリエイティブ制作、販売戦略に至るまで、担当者のみなさまとともに議論と提案を重ね、2022年11月にまつ毛美容液「ラッシュリッチ」がリリース。2023年4月某日、ロート製薬さまを訪問し、これまでの取り組みを振り返りました。

(左から)ロート製薬株式会社 D2C事業部 広告デジタル推進グループ マネージャー あきさん、マーケティング本部 D2C事業部 ひらめさん、a-works アレンジメントマーケティングチーム 百々(もも)雅章、コピーライター まさよ、ULTRA SOCIAL株式会社 CEO 高橋 亮太さん。対談には、ロート製薬株式会社 D2C事業部 れなさんにもリモートでご参加いただきました。
  1. 依頼の理由は、めざしたいブランドの未来像とマッチしていたから
  2. ライブ配信からオーガニック検索を経て新規顧客を獲得
  3. a-worksは「一緒に事業を考えてくれるパートナー」

依頼の理由は、めざしたいブランドの未来像とマッチしていたから

百々(もも):本日はお時間いただきありがとうございます。早速ですが、4月に刷新したLPがかなりいい数字を上げているようでホッとしています。

ひらめさん(以下 ひらめ):予想以上にCVRが伸びていて驚いています。今日はa-worksさんのクリエイティブに関する考え方などを改めて聞きたいと、楽しみにしていました。

2022年11月からスタートした運用結果をもとに、2023年4月に刷新したLP。クリエイティブ視点での狙いや数字の変化など、詳しくは後半記事をご覧ください

百々:そう言っていただけて光栄です。まずは順を追って振り返っていけたらと思うのですが、最初にロート製薬さんとお会いしたときは別の既存ブランドのご相談をいただいたんですよね。

あきさん(以下 あき):そうですね。伸び悩んでいるブランドに対して有効な施策がないかと相談していたはずだったのですが、a-worksさんの話を聞いているうちに「例えばですけど…新しいブランドの立ち上げに最初から入ってもらうこともできるんですか?」と(笑)

百々:a-worksとしては初めての挑戦となるので不安はまったくなかったと言えば嘘になりますが、一方で、私たちがこれまでに培ってきたセールスクリエイティブの知見を存分に発揮できるチャンスだとも思いました。a-worksを選んでいただいた決め手は何だったんでしょうか。

ひらめそもそも、D2Cをメインとする代理店さんでブランド立ち上げから関わった経験を持つ会社は多くなく、提案自体に消極的なケースも多かったんです。そうしたなか、a-worksさんからは「ゼロからアイディアを出して一緒にいいブランドをつくっていきましょう」といった姿勢を感じました。

ロート製薬株式会社 ひらめさん。普段は主にラッシュリッチやオンラインショップ等を担当

れなさん(以下 れな):提案内容も、教科書的なマーケティングではなく非常に柔軟性を感じましたし、「時代に合わせた方法でしっかりとお客さまに届けたい」という考えを聞いて、私たちが目指したいラッシュリッチの姿とマッチしていると思いました。

あき:提案書の内容も非常に説得力があり、伝えたいことをわかりやすく表現してあってすごくイメージしやすかったです。この会社とならおもしろいことができそうだな、と感じたのを覚えています。

百々:ラッシュリッチはそもそも商品力が高く、正しい訴求ができれば必ず数字につながると確信していましたので、今回のお取り組みが決まったときは本当にうれしかったです。

私たちはこれまで「すでにあるブランド価値を高めながら集客につなげるクリエイティブ」を得意としてきましたので、「集客を最大化させるためにはどんなブランディングが効果的か」といった逆転の発想でタグラインやキャッチコピー、キービジュアルを作り込んでいきました。

今回a-worksがブランディングを手掛けた、ロート製薬のまつげ美容液「ラッシュリッチ」。競合製品との違いを明確にし、ねらうべき層へのヒアリングを重ね、ターゲットを階層化。「ブランド体験を通してラッシュリッチのファンになる」を念頭に置いた戦略を立てた

まさよ:10年以上「集客」に向き合ってきたa-worksにせっかくご依頼をいただくのであれば、いわゆる純広告を目的としただけのキービジュアルではなくて、ブランドイメージの醸成と同時に、認知からの購買につながるキービジュアルにしたいと考えました。「知ってもらう」だけではなくて、「知ったうえで使いたくなる」までを見越したコピーをご提案したいな、と。

広告を見た瞬間に「ラッシュリッチを使うことで、私の何がどう変わるのか」を、いかにシンプルな言葉で、インパクト強く伝えられるか。周囲にも協力を仰ぎながら、たった一行を何度も見直しました。結果的に、「まつ毛印象、変わる。」のキャッチコピーは、セールスコピーとしてLPのファーストビューにも採用しています。

【後半記事】セールスに過激な表現はいらない。真摯に消費者に向き合うことで、洗練された雰囲気を保つとともに「売れるブランディング」を実現する

a-worksが誇るコピーライターであり制作物を監督するディレクターでもある、まさよ。全5回のクリエイティブシリーズは必見です

ライブ配信からオーガニック検索を経て新規顧客を獲得

百々:そうして11月にリリースとなったわけですが…正直、スタート直後はかなりご心配をおかけしてしまったかと。

ひらめいえ、出稿量が少なかったこともあり、初めの1週間まったく注文が入らないのはけっこう堪えました(苦笑)。「会社に行きたくないな…」っていうテンションの日もあったくらい(笑)

あき:数ヶ月前に別の新ブランドを発売したときは初日からCVが上がっていたので、出稿金額も同じなのになんでだろうってすごく焦ったのは覚えています。

ロート製薬株式会社 あきさん。D2Cビジネスの新規獲得を中心に取りまとめている

ひらめ無理を言ってラッシュリッチの発売日である11月11日に合わせてもらったものの、ある程度受注は入るかと期待していたのですが…。

百々:私も少しの期待は持ちつつも、11月中は御社のプレスリリース発信と指名ワードのリスティング広告のみ、受け皿も簡易LPだけという状況でしたので、ちょっと厳しいかもしれないなという予想は抱いていました。一方で、11月末に本番LPが完成しMeta広告(※)を回せるようになれば獲得を伸ばせる確信はありましたので、ロートさんよりはどっしり構えていたと思います。

その後順調に獲得を増やしつつ、大きく数字が伸びたきっかけは、インフルエンサーによるTikTokライブ配信でした。

※Meta広告…Facebook広告とInstagram広告の総称

ひらめ前日のレポートをチェックしていたらCVが急激に上がっていてびっくりしました。社内で「おそらくSNSの効果だろう」とは話していたんですけど、百々さんから「前日にライブ配信をおこなったところ、視聴者から購入したとの声がたくさん上がっているようだ」と報告をいただいて、なるほどと。その後も、ライブ配信がある日には必ず検索数が上がっているので、報告をいただく前に「ライブがあったんだな」とわかるようになりました。

百々:インフルエンサーマーケティングに関しては、提案の段階から、a-worksのパートナーであるULTRA SOCIALさんに協力していただきました。

高橋さん(以下 高橋):弊社は、日本流のTikTokではなく、TikTokの本場である中国式のTikTok活用を推進する会社です。百々さんからラッシュリッチの相談をいただいた当時は、私たちのノウハウを横展開したいとInstagramの研究に力を入れていたタイミングでしたので、TikTokとInstagramの両軸で参画できるこのプロジェクトに誘っていただけてとてもうれしかったです。

ULTRA SOCIAL 高橋さん。2018年にTikTok for Business Japanの立ち上げに参画し、22年5月にULTRA SOCIALを創業

高橋:また、弊社に所属している美容系インフルエンサーたちに発売前のラッシュリッチの概要を説明したら「とてもいい商品だから売れると思う」という答えが返ってきて、商品そのものにも大きな可能性があると感じました。というのも、彼ら彼女らはこれまでに自分自身でいろんな商品を試して実際に使ってきているので、「いい商品かそうでないか」「売れそうか売れなさそうか」というのが直感的にわかるんですよ。配合成分などの商品力もそうですし、ロート製薬という歴史ある企業が作っている点も、アピールポイントとしてめちゃくちゃ強いと。

百々:「ロート製薬」という企業名が消費者に与える印象は強いですよね。逆に、信頼ある企業だからこそ、広告によってそのイメージを毀損することがあってはならない。それは、これまで以上に強く意識してきた点でした。

「ブランド体験を通してファンになる」を実現するため、提案当初より、ポイントごとに異なるコミュニケーション手段を戦略に盛り込んでいました。インフルエンサーマーケティングを行うにあたってULTRA SOCIALさんにお願いしたのは、そのあたりをしっかりコントロールしてくれる安心感があったからです。

高橋:ありがとうございます。自慢ですが、うちの所属インフルエンサーはめちゃくちゃ真剣に取り組んでいる人たちばかりなので(笑)

実際に使ってみたインフルエンサーたちから「使ってみたら、いい商品だと分かったからこそ紹介したい」「非常に売れそう」といった感想がたくさん集まり、そこから影響力のあるインフルエンサーへと伝播していき、取り上げてくれるチャネルが広がっていきました。

最初は動画投稿だけだったんですが、とあるインフルエンサーが「私ラッシュリッチめっちゃ詳しくなったからライブでもしゃべれるよ」と言ってくれて、試しにライブ配信でラッシュリッチの紹介をしてみたんです。そうしたら、ライブ中に「検索して買ってきました」っていうコメントしてくれる人がめちゃくちゃいたんです。

百々:その翌日、レポートを見た僕から「高橋さん何かしました?数字がめっちゃ上がってるんですけど」って連絡させてもらって(笑)

TikTokライブによって1件あたりのCPAは横ばいのまま、CVR2.4倍へ推移(ライブ実施日を起点として前後2週間で比較)

高橋:もう、思わずガッツポーズが出ましたね。というのも、動画「投稿」の場合はトラッキングタグを埋め込んだリンクを貼ることができるのですが、現状の日本のTikTokやInstagramのライブ配信においてはその機能がないので、購買効果を数字で見ることが難しいんです。

【編集部注】中国のTikTokであるdouyinにはライブ配信によるショッピング機能が搭載済みで、まもなく日本にも実装されるとの噂がある。詳しくはこちらの記事にて ▶ 中国の短尺動画SNS「抖音」のEC流通額は18兆円!購買行動を変えた抖音の技術とは

高橋:中国のdouyin(TikTok)ライブが直接の経済効果を生み出す様子を目の当たりにしてきたからこそ、ライブ配信とECのシナジー効果はめちゃくちゃ高いはずとの確信があったんですが、日本で実践するのはなかなか難しくて。このような機会に恵まれて結果にもつなげることができ、弊社としても大きな学びになりました。

実際のTikTokライブの様子

高橋:実は代理店からお声がけいただく機会は多くなく、ふだんはSNSまわりだけを担当することがほとんど。今回a-worksとの取り組みに参加させてもらったことで、取り扱うブランドの世界観をはじめ、どのようなコミュニケーションを目指しているのかといった全体の戦略の一端を担う意義や強み、相乗効果を実感できました。

百々:ウェブ広告の定石は、クリエイティブの検証を行いながらパフォーマンスを高めるためのトライアルアンドエラーを繰り返すこと。そのなかで、Meta広告の場合はどうしてもクリエイティブの消耗スピードが早く、CPAが大きく変動しがちです。広告の鮮度を保ち続けられるよう手を打ちながらも、クリエイティブ検証だけで圧倒的な拡大を実現することは難しいと感じていました。どこかで大きなブレークスルーを打ち出さなければとの課題感を抱えていたなかでTikTokライブが当たり、「ライブ配信と掛け合わせた獲得」を戦略の主軸に置く後押しとなりました。

その結果、Meta広告を単体で回していたときより全体平均のCPAがぐっと落ち、広告ボリュームが増えたのでチャレンジ領域が広がった。ラッシュリッチは継続率を高めていきたい商品なので、初回獲得費用を抑えてF2転換を見据えた施策に力を入れられるようになったのは非常によかったと感じています。

a-worksの頭脳、百々。パチプロ、焼肉屋、エンジニアなど、職歴の幅が豊富

ひらめ会社としても、初回単価に対してのコスト感としてはかなりいい評価だと思います。

やはり認知の部分において、動画投稿やライブは強いですね。インフルエンサーさんの見せ方が上手いのもあると思うんですが、「商品を使うことによって得られる変化」を、視聴者目線ですごく上手に伝えてくれているなと感謝しています。

百々:改めて、ブランドを立ち上げる前の状態からさまざまな施策を掛け合わせる戦略を描いたうえで動いたからこそ得られた結果だなと思っています。ライブで認知を高め、広告配信とクリエイティブの設計で獲得する。ライブを見て検索などでラッシュリッチのページにたどり着いても、「獲得できるクリエイティブ」でなければ購買にはつながりません。認知の場と獲得の土壌が互いに上手く機能することの重要性を改めて実感しました。

a-worksは「一緒に事業を考えてくれるパートナー」

百々:今後もまだまだお付き合いは続きますが、ブランドの立ち上げからこれまでを振り返って、a-worksに対してのご意見を遠慮なくお聞かせいただけたらうれしいです。

ひらめまずは担当者の方、百々さんがすごく親切です(笑)。今年から本格的にデジタルマーケティングに関わりだしたこともあり、本当に小さな疑問に対してもお時間を取っていただいたり、不安を感じているときにはこまめにコミュニケーションを取っていただいたり。日々のやり取りにおいてもクリエイティブにおいても、非常に誠実な会社さんだと感じています。

れな:まさよさんも百々さんも、我々を「たくさんあるクライアントのひとつ」ではなく、きちんと人として関わってくれているのを感じます。ULTRA SOCIALさん含め、アイデアベースで気軽に相談させてもらえる取引先さんは多くないので、すごくありがたいですね。代理店というよりも、一緒に事業を考えてくださるパートナーだと思ってお付き合いさせていただいています。

あき:まずは、スピード感をもってラッシュリッチというブランドを育ててくれたことに感謝しています。目まわりのケアでは認知度の高い会社なので上手くいくだろうとは思っていましたが、リリースからわずか2ヶ月でここまでの結果が出るとは思っていませんでした。加えて、百々さんと御社の知見をこちらに惜しみなくご共有いただけることに感謝しています。

百々:そんなふうにおっしゃっていただけて、すごくうれしいです。これまでの知見が事業に活きていくことは僕にとっても喜ばしいことですし、互いにディスカッションができるいい関係が築けていると思っています。業者としてではなくパートナーとして、机上にあげるべき事項をきちんと申し立てるべき、というa-worksのスタンスにみなさん向き合ってくださるのでこちらこそ感謝しています。

あき:そういえば、せっかくの機会なので聞いてみたいことがあって。意見ではなく質問なんですがいいでしょうか。

百々:もちろん!

あき:a-worksさんは「集客」「獲得」を得意とする会社だと伺ってきましたが、それらを指針にしている場合、派手すぎる…というか、キツい表現や露骨な表現を選ぶ会社も少なくないと思うんです。その方が効果が出るのも早いでしょうし。a-worksさんがクリエイティブにおいて強い表現を意図的に使わないのは、お客さまの解像度を高めたうえで、「その人に伝わるクリエイティブ」を発信する方がLTVが上がる確信があるからでしょうか。

百々:はい、おっしゃる通りです。

まさよ:基本姿勢は、「人からされて嫌なことはしない」ということですね。それに「乱暴な出会いは、乱暴な別れにつながる」と思っているので…。

あき:…!


まさよの言葉の真意とは…。

後半、【セールスに過激な表現はいらない。真摯に消費者に向き合うことで、洗練された雰囲気を保つとともに「売れるブランディング」を実現する】に続きます。

a-worksがクリエイティブ制作において常日頃から大切にしている考え方と、「購入したくなるクリエイティブ」について詳しく解説します。ぜひご覧ください。