アイデアを形に!ゼロからメディアをつくる方法【企画編】

2021年3月、a-worksでは新しいウェブメディア「TAL(Things And Life)」をリリース。さまざまな人の「実際に使っているモノ」を紹介し、メディアと読み手が価値観を共有したい、とのコンセプトでスタートしました。

グラフィカル ユーザー インターフェイス, Web サイト

自動的に生成された説明
わたしの「使ってよかった」コレクション  TAL(Things And Life)

今回のテーマは「ウェブメディアのつくりかた」。発案者でありプロジェクトリーダーも務めるコヤナギさんとデザイナーのナナさんをお迎えし、

・組織でメディアを手掛ける意義・意味とは?
・コンセプトってそんなに大切?
・メディアの空気感を企画や記事にどう落とし込む?
・アイデアを実現するときに気をつけるべきことは?

などなど、企画提案から公開までを振り返り、その時々で考えていたことや直面した悩みを深堀りします。

コヤナギさんが「顔を出すと魂が抜ける」と言うので、
個々のキャラを投影したオリジナルa-worksくんでお届けします。

2020年2月の企画会議から、2021年3月のリリースまで。新しいウェブメディアはどのようにつくられていったのか?その軌跡を包み隠さず公開します!

始まりは、部署内で開催したイノベーティブ企画会議

ーーTALの前身となる企画は、2020年2月におこなわれたMMG※の企画会議でコヤナギさんが提案したものなんですよね。
※MMG:メディアマーケティンググループ。クリエイティブやメディア事業を担当する部署

コヤナギ:そうですね。一兆個くらい出したアイデアの中のひとつです。そのときは「review」という名称で提案していました。

グラフィカル ユーザー インターフェイス, テキスト, アプリケーション

自動的に生成された説明
イノベーティブ企画会議に提出したreviewのプレゼン資料

ナナ:一兆個はたぶん嘘なんですけど(笑)、インパクトのあるアイデアはほかにもありましたが、特に「review」の「口コミから商品を逆引きする」とのコンセプトはすごくいいなと思いましたし、こんなサイトがあったら自分でもぜひ使いたいと思いました。
ただ、サイトの規模が大きく、複雑な設計や開発が必要になりそうだったので、うちの会社でできるスケールなのかなという不安は少し感じましたね。

ーーコヤナギさんとしては実現可能な案として提案していた?

コヤナギ:会社という組織でやるなら実現可能かな、というアイデアを出したつもりではありました。今の時代、小さなメディアなら個人でもできるので。いろんな知識が必要でボリュームもあって、会社でやる意味があるものを、という点はイメージして。
ちなみにナナちゃんは五兆個くらいアイデア出してました。

ナナ:まあ…それも嘘なんですけど(笑)。
会議内でメンバーそれぞれが出した提案が数十個くらいあって。そのなかから、コヤナギさんの「review」を実現していく方向で動きましょうとなりました。
会社のリソースを使うプロジェクトのため最終的なGOサインは当時のグループリーダーのモモさんが決定したのですが、「昨今の口コミは商品購入の決め手にもなっており、口コミ情報を起点に商品と出会うという体験がWEBで実現できるとのコンセプトは非常に可能性があると思った」と評価していました。

メディアづくりで重要なのはコンセプトをとことん詰めること

ーーやりましょうと決まって、そこからはどんなふうに動いていったんですか?

ナナ:自然とコヤナギさんがプロジェクトリーダーになって、どんどん進めてくれました。会議があったのが2月頭なんですけど、2月中には最初のモックがあがってきて、そのスピード感に驚いたのを覚えています。

コヤナギ:とりあえずみんなで見ながら意見を出し合えるものをつくって、さらにコンセプトを詰めていきました。

初期につくられたモック(デザインサンプル)

ナナ:新しいメディアをつくるにあたって、“そもそも”を考えることに時間を割きましたね。「なぜみんな口コミを信じてモノを買うのか」を中心に、真理の部分をすごく議論しました。

ーーメディアの意義、みたいなことでしょうか。

コヤナギ:意義もそうですし、このメディアにはどういう価値が発生するのか、といった部分ですね。そこが中途半端なプロジェクトってスベるので、細かく分解していきました。1本、芯となる部分を組み立てるのに一番時間がかかりましたね。
自分と価値観の合う人から違う人まで、たくさんの人に壁打ちをしてもらって。僕は企画発案者なので、このプロジェクトって「僕のアタマのなかにあるものを具現化したい」なんですよ。でも、壁打ちで毎回ボコボコにされたのがよかったです。それがなかったらたぶん、独りよがりなメディアになっていたと思います。
ただ、最初に掲げた「共感でモノを買ってもらう」「その人が使っているモノ以外は紹介しない」という2点だけはブレずに、内容を詰めていきました。

ホワイトボードに書かれた絵

中程度の精度で自動的に生成された説明
メディアのミーティングメモ。まだ「TAL」の名が付いていないころ

TALのサイトマップ

コヤナギ:当初想定してたのは、今よりもだいぶん押しが強いメディアだったんです。記事によって強弱はあっていいけど、影響力のある人が「これを買うべきだ」と言うのはアリじゃないか、と考えていました。でもそうした僕の意見に対して、それだと共感しづらいよね、共感できないから購入したいと思わない、という意見をもらって。

ナナ:「実際に使ってるものを紹介する」というコンセプトは企画段階から変わっていなんですけど、その見せ方ですよね。

コヤナギ:「これを使わないと生産性上がらない」とか「人生損する」みたいな、煽っていくのはやめようと決めました。

ナナ:名前やロゴが決まったタイミングからプロトタイプを制作し、社内に公開してアンケートを取りました。その内容を精査、反映して、最終的なデザインを整えていきました。


初期のプロトタイプ

社内アンケート結果

ーーデザインテイストとしては当初から大きくは変わっていないんですね。

ナナ:最初にコヤナギさんが上げてくれたモックから踏襲した部分は多いですね。「シンプルで読ませる」「写真が映える」「よけいな装飾がない」といった点を意識しました。TAL自体の個性を主張するのではなく、登場するレビュアーやモノの個性を際立たせるための見せ方ができるようデザインしました。

コヤナギ:TALの記事を読んでモノを買うことがステータスになるようなデザインにしたいというイメージは、はじめからありましたね。

ーーセンスのいいセレクトショップみたいな。

ナナ:そんな感じです。まだTALのコンセプトがかたまりきっていないときから、そうしたイメージは持っていました。

コヤナギ:同じアイテムを買うにしても、自分が好きなお店で買うほうが満足度が高いと思うんですよね。そうしたメディアを目指したいなと。

業務委託メンバー(パートナー)の加入でスピード感アップ

ーー8月に業務委託メンバーが増えたのも大きなニュースだったと聞きました。

コヤナギ:もともとa-worksと付き合いのあったフリーランスの方たちに声をかけて、エンジニアのフラポさんと、複数のライターさんがチームに加入してくれました。すぐに、TALの公開に向けてガッツリかかわってもらいましたね。

 ナナ:開発会社の選定ややり取りは、フラポさんがぜんぶ担当してくださって。そこから一気にシステム要件などが決まっていった感じです。

【予告】▶近日中に、このとき開発側ではどんなことが起こっていたのか、エンジニア視点から見た【実装編】を公開します!

コヤナギ:そのタイミングから、開発にかんしてはナナちゃんとフラポさんにすべてお願いをして、僕は企画・記事制作に集中する体制を取りました。企画班と開発班にわかれましょうと。

ナナ:企画や記事制作は、業務委託メンバーを含めチーム全員でつくっていきました。また、チームメンバー以外の社員のみなさまにも、ユーザーテストやアンケートなどたくさん協力していただきました。

コヤナギ:人材を贅沢に使わせてもらいましたね(笑)

ーーはじめにおっしゃっていた、会社組織だからできることですよね。社長への最終提案もこのころですよね。

コヤナギ:そうですね。だいたいのOKはいただいたんですけど、もっと詳細なメタファーが欲しいと言われて。TALというメディアが本当にあらわしたいことをさらに細かく言語化し、特定の読者をイメージした詳細なコンテンツ案とともに再提案をおこないました。

再提案時に提出した資料の一部。より詳細に言語化し、コンテンツ案も作成

ーーそれによってどんな変化がありましたか?

コヤナギ:大きくは変わってはいないんですが、チーム内での共通認識がよりクリアになりました。TALという媒体が何を伝えたくて何をやりたいのかが明確になったので、さまざまなことを判断する際に「TALっぽい」「TALっぽくない」という言葉だけで通じるようになりましたね。

ナナ:たしかに。そうした共通認識ができたのは、いろんなことを進めるうえで軸となって機能しましたね。

旅で実際に使ったモノについて、思い出のエピソードとともに語る「TALっぽい」記事

まずは記事を量産。そしてβ版公開&正式リリース

ーーそこからリリースに向けて記事を量産していったと思うんですが、企画や記事の制作にあたって意識した点はなんでしょうか。

コヤナギ:TALは、売るための記事ではなくて読んで共感してもらうことを第一目的としているので、ウェブメディアではあるけれど、雰囲気としてはライフスタイル雑誌に近いんです。
一般的なアフィリエイト記事の場合、読者にメリットを感じてもらって購入へとつなげることが目的なので、商品なりサービスなりのメリットを全面に押し出すことが多い。でも、TALでやりたいのはそういった表現ではなくて、淡々とモノについて語ってくれればいいと。読者に共感してもらえて、なんとなくよさそうと思ってもらえる記事を書いてほしいとお願いしました。

ナナ:業務委託メンバーは、ウェブメディアで活躍されてきたライターさんたちなので、最初はその温度感を共有するのが大変そうな印象でした。

コヤナギ:ライターさんたちにとっては、記事として本当にそれでいいのかという疑問があったと思います。なので、これで大丈夫なんだと言い続けて、一人ひとりに合わせたヒントや方向性をお伝えするようにしていました。そうした働きかけはこれまで経験がなかったので、自分にとってもすごく勉強になりましたね。

ーーコヤナギさん自身のディレクション能力も磨かれたんですね。

コヤナギ:そうですね。最終的にはすごくいい記事が何本もあがってきて。たくさんの人たちと仕事をするのはおもしろいなと思った瞬間でもありました。

ナナ:記事を作る過程に直接はかかわってはいないのですが、ライターさんたちが試行錯誤してくれているなというのはずっと感じていました。そして、最後はすごく「TALっぽく」なっていたのが印象的でしたね。完成した記事が、最初と全然違うんですよ。すごいなって。

コヤナギ:やはりみなさんプロなので、一度感覚をつかんだらさすがの仕上がりで。TALらしい雰囲気があり、かつ、書き手それぞれの個性が出た良質な記事がそろっていると思います。

ーーリリースしてからわりとすぐに、ポジティブな反応があったんですよね。

コヤナギ:とある記事で、紹介している方のバックグラウンドや考え方に共感してモノを買うという現象が起きたと聞きました。情報だけじゃなくて、価値観や感性でモノを買うという、「TAL」が目指している部分が受け入れられたのはうれしいですね。

反響が大きかった、フレンチアンティークバイヤーtamamiさんの記事

今後の「TAL」の展望

ーー目下の目標としては、媒体としてのパワーを上げていくことでしょうか。

コヤナギ:そうですね。マネタイズを考えるのは、アクセス数が伸びてからだと思っています。会社に提案したときから、「“こういうビジネスモデルでマネタイズしましょう”というメディアは世の中にあふれているから、そこはやらないでおこう」というのがスタートでもあったので。今も一応アフィリエイトリンクを貼ってはいますが、そこで儲ける気はなくて、メディアとしての力を付けることが第一目標だと思っています。 

ーーまずはたくさんの人に読んでもらえるメディアを目指しましょうと。

コヤナギ:アプリでもよく見られる事例なんですけど、マネタイズを目的に無料でたくさん配っても、アプリの質がよくなかったら、そこからお金を取るのは難しいですよね。メディアの場合は、コンテンツがすべて。だから今はまず、おもしろいコンテンツを増やしていこうという状況です。

もちろん会社組織なので、TALばかりにリソースが割けるわけではありません。今は、ほかの仕事とのバランスを取りながらコンテンツ制作を進めています。時間はかかるかもしれませんが、コンテンツづくりのあとでマネタイズを考えるプロジェクトは、組織だからこそできること。コンセプトに自信はあるので、じっくりと育てていけたらと思っています。

【最後に】ウェブメディアのつくりかた

ーー改めて、ウェブメディアをつくるにあたり大切なことってなんでしょうか?

コヤナギ:僕の中で大切だと思う点は大きく2つあります。
1つ目は企画やコンセプト設計を少人数でおこなうこと。ウェブメディアだけの話ではないと思うんですけど、企画って、少人数で考えるほど尖るんですよね。みんなで考えるとどんどん丸くなってしまうし、おもしろくなくなってしまう。ある程度要件が固まってきたら、記事を書いたりデザインを入れたり、みんなで役割分担していきますが、最初は少ない人数で考えた方がおもしろい企画になりやすいと思います。
2つ目は、「やりたい!」と思うアイデアがあって、実行に移せるとなったら、最初の軸、本質的な部分を譲らないこと。譲らないんですけど、具体化に向けたフィードバックや壁打ちはお願いします。ただ、本質からほんの少しでもずれる意見を取り入れてしまうと、どんどんずれていってしまう。意外と、そこに気づかないまま進んでしまうというケースは珍しくないので。リリースの段階になってから、最初に思い描いていたものとぜんぜん違うものができあがっていた、とならないよう、抽象度が高い部分は変えないという意思が大事です。

ーー最後に、TALプロジェクトの総括をお願いします。

コヤナギ:メディアにかかわらず、僕はもともと、見たことがないものをつくりたいという欲求が大きくて。個人で考えたことが組織のなかで化学反応して、最終的に、よりよいものとして世の中にリリースできたことはとてもうれしいですね。

ナナ:グループ内でも、誰もつくったことがないアイデアだからつくりたいという空気はありました。おもしろいことが好きな人たちが集まっているグループだから、実現できたのだと思います。

コヤナギ:TALのモトとなるアイデアを提案した「イノベーティブ企画会議」は現在「おとなチャレンジ※」という名前で引き継がれているので、また新しいチャンレンジが実現できればいいですね。
※おとなチャレンジ…「ニュースタンダードな企画を考えて実行し、新しい価値観を作る」ことをゴールに掲げている企画会議。

ナナ:30近いアイデアが集まっているので、今後の動きに乞うご期待です!(笑)


 

ここまでお読みいただき、ありがとうございました!
TALの発案者でもあるコヤナギさんは以前、社内報の「つつぬけラジオ」に出演した際にも「TAL」について語っていますのでお時間ある方はこちらもぜひ。

【ブログ】【オープン社内報 つつぬけラジオより】新メディア「TAL」が誕生するまで
【ラジオ】#8「新メディア始動!そろそろ、本当のTALの話をしよう」【つつぬけラジオ】

実はこの記事、開発側視点からの記事とセットになっています。半年をかけてコンセプトを練ったウェブメディアの企画を、エンジニアはどのようにカタチにしていったのか?開発側から見た【実装編】は、まもなく公開予定なのでお楽しみに!

ページの先頭へ