野山です。今日は久しぶりに少しa-worksの近況についてお話させてください。
最近、試行錯誤を繰り返しながら新しくスタートさせてきたさまざまなチャレンジが、それぞれの事業として大きく伸びているのを感じています。例えば、予算型広告支援事業の単月売上が1億円目前まで伸びていたり、ショッピングモールの運用支援事業ではクライアントの期待以上の成果を出せていたり、既存事業に関連する大型プロモーションの提案の幅がどんどん広がっていたり、まったく新しい切り口の仕事が舞い込んできたり。a-worksブログは毎年、年末に私の記事で締めるのが恒例なのですが、今年は非常にポジティブな報告ができそうな予感がしています。
その一方で、私の中で「このタイミングだからこそ、もう一度会社の軸を確認しなければ」との思いも強くなってきました。おかげさまでa-worksは今年の8月で17期目に突入しましたが、この成長をさらに次のステージに進めていくには、全メンバーで共有できる新しい指針が必要なんじゃないか…。そうしたことを考えていたなかで新しく策定したのが「a-worksの行動指針」です。
a-worksでは、経営理念に「意志ある人を支援する」、経営目的に「関わる人の人生の意義を高める」を掲げています。これらは単なる言葉ではなく、a-worksのすべての活動の根幹を成すものだと考えています。
だからこそ、この”新しい基準”をつくるにあたってはかなり悩みました。世の中では「与えられた給料分だけ働いて何が悪いんだ」という空気感が強くなっているし、そうしたなかで高い基準を示すことは、ともすれば「社長が追い込もうとしている」と誤解されかねない。それでも、そうした世の中だからこそ、a-worksは高い基準を持って戦う会社だということを示したかった、というのも行動指針を掲げた理由のひとつです。
ここ数年、a-worksは毎年のように大きな変化を遂げてきました。特に、コロナ禍をきっかけに導入したリモートワークはメンバーのライフワークバランスの向上にとってポジティブな効果を発揮し、「関わる人の人生の意義を高める」という経営目的にも非常にフィットするものだと実感しています。同時に、時代に応じて労働環境や組織が変化していくなかでも、a-worksでは経営理念と経営方針のもと社員の自由度を重視し、才能を生かすことに重きを置いてきました。
ありがたいことにa-worksは優秀なメンバーが多く、「自分たちで考え、やるべきことに向き合う」といった文化が醸成されています。ただ一方で最近は、リモートワークやフルフレックスなど働き方の自由度が高いがゆえに、仕事への向き合い方がわからないメンバーも増えてきたようにも感じています。
創業から17年目を迎え、結婚したり子どもが生まれたりと、入社時から大きくライフステージが変化したメンバーも少なくありません。女性男性ともに育休休暇の取得率・復帰率が100%であることはとても誇らしいですし(私も昨年に育休を取得しました!)、社会にとってもめちゃくちゃ意義があることだと思っています。ただやはり、仕事以外の負担が増えた状況下では、人間は自然とバランスを取ろうとする…つまり会社が何も言わないままだと、多くの人は仕事への優先順位が下がってしまうのだという現実にも、ここ最近は直面していました。
例えば人事面談で「最近どんな仕事をやっていますか」と聞くとルーティーンワークに関する報告を受けることがありますが、それは私から見れば「毎日起きて毎日寝ています」と言っているようなもの。また、「やれることはやっています」という姿勢が見られるメンバーもいましたが、それは当たり前で話にならない。私たちが目指すべきは、単に仕事を「こなす」ことではありません。
これは自分自身への反省点でもあるのですが…そうしたやり取りを繰り返すなかで、「こちらが信頼すれば仕事で応えてくれるはず」という期待のみでは個々の行動レベルを上げることは難しいのだと気がつき、新たな指針の必要性を強く感じるようになりました。単に個々のメンバーの考えを尊重するだけではなく、会社全体としての明確な方向性と高い基準を示す必要があるのでは、と。
そうしてたどり着いたのが、今回新しく策定した「行動指針」です。その核となるのが、「感動基準の追求」「美しい逆張りを形に」「プロフェッショナルで、主体的であること」の3つ。これらの要素はa-worksが目指すべき方向性を明確に示すとともに、自身の行動や成果の是非に悩んだときの判断基準にしてほしいとの思いも込めています。
もうひとつ、最近気づいたことがあります。リーダー陣を含め、多くのメンバーが「相手のための」「ストレートな」フィードバックができていない。これは、今のa-worksという組織の弱さかもしれません。
例えば、「関わる人たちがスムーズに仕事を進めるため、優先順位をちゃんとつけてほしい」とシンプルに言えば伝わるはずなのに、回りくどい言い方をしてしまい、明確に伝えられない、伝わらない。結果、相手の行動は変わらず、自分や周囲の人たちの労力は大きいまま。トラブルを避けたい、人間関係を壊したくない…。そういう気持ちはすごくわかります。実際、私も昔はそうでした。でも、それって本当の意味での「優しさ」なんでしょうか。
今、a-worksでズバッと指摘できるのは、私を含めて数人程度しかいないように感じます。「この仕事のやり方じゃ足りないよ」とか「もっと深く考えないと」とか。時には厳しい指摘になることもありますが、決して相手を追い込むためではなく、むしろ、その人の成長を本気で願っているからこそ。
人事面談で「自分なりに頑張っています」と聞くことがあります。でも、その「自分なり」の基準で本当にいいのか、もっと違う視点があるんじゃないか。それを気づかせてあげるのは、リーダーの役割のひとつでもあると思います。
フィードバックをするときには、「何を基準に言うか」が重要です。「私はこう思う」というような個人の感想レベルだと、指摘をしようにもなかなか言いづらい。でも、「この行動指針に照らしてどうか」という客観的な基準があれば、より建設的な対話がしやすいはず。
今回の行動指針には、そういったコミュニケーションの土台としての役割も期待しています。お互いが成長するための「共通言語」として使ってほしいし、相手のためを思い、会社の未来を見据えた「真摯なフィードバック」が当たり前になってほしいと思っています。
シャチョウとしての原動力は、目の前の人が変化する姿を見ること
最近改めて感じているのは、私は、人が成長していく姿を見るのが本当に好きなのだということ。例えば業界のトッププレイヤーとの仕事の機会を得たメンバーたちが、その後、仕事への主体性がグッと高まったり、目の輝きが変わったり。誰かになにかを言われなくとも、自分でどんどん新しいことを考え始めたり。a-worksで働いているメンバーが成長していく姿、クライアントに貢献している姿、意味のある行動を選び取っている姿を見るのが、今の私の人生の楽しみでもあります。
結局のところ私は、人にめちゃくちゃ興味があるのだと思います。目の前の人がどう変わっていくのか、どんな可能性を持っているのか、それを引き出せたときの喜びとおもしろさ。正直、これが今の私の原動力のひとつかもしれません。
例えば最近、過去最高の売上が見込めた案件がありました。でも私が一番うれしいのは、数字そのものよりも(もちろん数字もうれしいですが!)メンバーたちが「自分たちでここまでできるんだ」という自信をつけて、さらに新しいことにチャレンジしようとする姿を見られることだったりします。
私自身、起業してからの17年間、本当にいろんな経験をしてきました。時には会社の存続すら危ぶまれる状況もありました。でも、そのたびに這い上がってこられたのは、一緒に働くメンバーたちが、自分の仕事に真摯に向き合い、共に考え、挑戦してくれたからです。
だからこそ、この行動指針を上からの押し付けだと思ってほしくない。むしろ、一人ひとりが自分の可能性に気づき、それを伸ばすために役立つものだと思ってほしい。世の中は今、タイパやコスパに代表されるような、短期的な話であふれています。でもa-worksはそうした視点だけに惑わされる会社でありたくないし、そればかりを追いかける環境では、一人ひとりの成長もきっと叶いません。
確かに、この基準に向き合うのは簡単じゃない。でも、本気で向き合ってがんばった経験は、必ず人生を豊かにするはずです。なぜならそこには必ず成長があり、その成長が新しい機会を生み、さらなる挑戦を可能にしていくから。(その結果、より経営目的に向けてみんなの人生の意義が高まるんだと思っています)
…そんなこんなで改めまして、a-worksという場所が、そんな「成長の連鎖」が起きる会社を作るにはどうしたらいいか。一人ひとりが、自分の才能に気づき、それを磨き、人に喜んでもらえる仕事ができる。そして、その過程で自分自身の人生も豊かになっていく。そういう原理、原因をみんなでつくっていきたい。だからこそ、今回の基準を掲げることに決めました。
会社を次のステージに進めるためには、全メンバーの進化が不可欠
ちなみに、これまでにも行動指針と経営目的の連動性を強化するために、OKRの運用やチーム合宿などさまざまな取り組みをおこなってきました。今後は更に行動指針を基準としたフィードバックループを強化することで、”行動指針に基づいた行動で多くのメンバーの根本的アクションがアップデートされること”に注力していく所存です。
理由は高い基準を設定し、それに向かって全社一丸となって努力する習慣・原理を整えることができれば、メンバー全員が新たな高みに到達できると信じているから。繰り返しになりますが、それは単に会社の業績だけを目的としているのではなく、一人ひとりの人生の意義を高めることこそがa-worksの経営目的であり存在する意味だからに他なりません。
あくまで目指すのは、経営目的の達成です。
“顧客に対して最高のアウトプットを出し続けられる会社”として次のステージに全員で進むことで、もっともっとメンバーの”こう在りたい”を実現できる会社を目指し、形にする思いです。
最後に
この行動指針について、みんなそれぞれの受け止め方があると思います。「こういう解釈でいいのかな」とか「ここってこういう意味?」とか、きっといろんな疑問や意見が出てくるはず。そういうときは遠慮なく聞いてきてほしいし、私はそれを、すごく楽しみにしています。
何度も言うように、私自身もまだまだ試行錯誤の毎日です。
例えばスポーツにおいて相手に勝つ為に戦略や戦術が深く理解できていたとしても、それを形にするテクニックがそれぞれしっかり使えないと絵に描いた餅になってしまうのと同じで、この行動指針や会社の運営基準を刷新したらすぐに何かが良化するわけなんてない。この基準の中で日々一生懸命に生きていく中で、みんなで考え、実践して、時には失敗して…全員で進化していく。そういう過程を経て、少しずつ結果を出せるチームになっていくものでしょう。そんな日々を楽しみつつ、今日もしっかりと仕事を頑張ろうと思います。