「自分の頭で考えられる人になりたい」。そう思いながらも、何をどう考えればいいのかがわからないまま日々の業務に追われていく、という日々を送る人は少なくないはず。だからこそa-worksでは、早い段階から「自分で考える場面」に立ってもらうことを大切にしています。
今回は、入社半年のメンバーが未経験の案件に飛び込み、「考えるとは何か」をつかんでいった過程を紹介します。担当した山本と、伴走した倉橋・服部の3人に話を聞きました。
抜擢の理由は「この経験が本人の成長につながるはずだから」
ーー当時は入社して半年だった山本さんに新規案件を任せた背景を教えてください。
服部:今回の案件は、新しいクライアントのプロジェクトを広告運用の設計からゼロで立ち上げるという内容でした。広告の設計、クリエイティブ、配信、改善まで全部自分たちでやる座組なので、担当者には「自分の頭で考えて動く」ことが求められます。
そこに入社6ヶ月目の山本さんをアサインしました。この領域は未経験でしたが、引き継ぎではなくゼロからの立ち上げなので、先入観がないことはむしろプラスに働くだろうと判断しました。
倉橋:1人で完璧にやり切れるかどうかという基準ではなく、この経験が山本さんの成長にとって大きな意味を持つだろうという判断でしたね。
山本:正直、めちゃくちゃ不安でした。でも、責任の範囲が広がるぶん、思いっきりやり切ろうという気持ちもありました。
服部:振り返ってみると、山本さんは最初から自分で広告の設計をする前提で、戦略の深掘りに入っていったんですよね。どういう設計にするか、どういうクリエイティブを作るか、自分が扱える変数をひとつずつ丁寧に捉えにいっていた。その姿勢がすごく良かったと思っています。

「自分の言葉で説明できない」と気づいたところから始まった
ーー山本さんは案件に加わってから、どのようなステップで仕事を進めていったのですか。
山本:最初に取り組んだのは、商品とターゲットを理解することでした。他社の事例を分析したり、実際に購入に至っている導線から逆算して、どんなユーザーが動いているのかを紐解いたり。「これを調べてください」と細かく指示されたわけではなく、「まずは担当として正しく理解すること」を目的に掲げ、自分なりに進めていきました。
けれど、社内でコミュニケーションプランを作ったり、クリエイティブの制作チームに依頼したりする場面で、ターゲットについて自分の言葉で説明しようとしたときに、解像度が全然足りていないことに気づきました。商品のスペックとターゲットの属性情報を並べているだけで、「なぜこの人がこの商品を買うのか」を自分の中で腹落ちさせられていなかったんです。
倉橋:最初はそうでしたね。でもそこから、山本さんは自分で動き始めたんですよ。社内のいろんな人に壁打ちさせてもらったり、ターゲットに近い年代の方に直接ヒアリングしたり。
山本:集めた情報を自分の言葉で書き起こしてみたことで、ようやく「どこまで深掘りできていて、どこからが浅いのか」が見えるようになりました。自分で説明できない部分は、そもそも理解できていないということなんですよね。当たり前のようですけど、それを身をもって実感したのが大きかったです。
倉橋:この変化スピードがとても早かったですね。属性ではなくインサイトでターゲットを捉えるようになって、データの傾向から仮説を立てられる状態にすぐ移行していきました。
山本:広告の指標についても同じだったと思います。最初はCTRやCPMを言葉の定義としてしか認識できていなくて。倉橋さんに教えてもらったのは、指標を単体の数字として見るのではなく、ユーザーが広告を目にしてから購入に至るまでの導線のなかで因果関係として捉えるということでした。「ここでこのアクションが起きるから、次の数字がこう動く」という構造がわかると、導線のどこに問題があるのかを自分で見つけられるようになります。
倉橋:これを自分の言葉でここまで構造的に説明できている山本さんはすごいですよ。自分のものにする速度が本当に早かったです。
「できる自分」を見せなければ、の思い込みから脱却できた
ーー山本さんの成長の早さを支えたのはどのような部分だと感じますか。
倉橋:山本さんの成長が早かった一番の要因は、わからないことを「わからない」と言えたことだと思っています。当たり前のようで、これがなかなかできない。曖昧なまま進めてしまって、後になってから問題が発覚するケースはどこの組織でも多いはずです。
ただ、山本さんも最初から素直に言えたわけではないです。間違ったことを言ってはいけないと思って、ChatGPTで調べた文章をそのまま送ってくる、みたいなこともありました。
山本:ありました、そんな時期が(笑)
倉橋:指導する立場として私が意識していたのは、テキストのやりとりだけで終わらせないことですね。週1で必ず顔を合わせて、直接話す機会を多めにつくるようにしていました。1on1でも、仕事の話ばかりではなく雑談から入ることが多かったです。先輩と後輩という関係よりも、まず人として知り合いたかったので。あとは、私自身がそんなにしっかりしたタイプではないから、「これ私もわからんわ」と素で言うとか、ちょっとしたミスもそのまま見せるとかもしていました(笑)。それが結果的に、山本さんにとって話しやすい空気になっていたのかもしれません。
山本:倉橋さんはすごく丁寧に気を配ってくださるんです。クライアントとのミーティングの前に「何かあっても私がフォローするから大丈夫」と声をかけてくださったり、私が出したアウトプットに対して「ここまでできてるなら大丈夫、あとはここだけ詰めよう」と、できている部分を先に認めてから次のステップを示してくださったり。そういう積み重ねのなかで、「わからない」と口に出していいんだと思えるようになりました。
倉橋:「最初から100%の完成度を出せると思わないでほしい」ということも繰り返し伝えていました。5割6割の段階でいいからまず出してほしいと。入社して間もない段階で、すべてのスキルを持ち合わせていないのは当たり前のことなので。
山本:それは本当に大きかったです。入社当初は「できる自分」を見せなければいけないと思い込んでいたんですが、「まだそのフェーズじゃない、まずは出すことが大事」と言ってもらえたことで、気持ちが楽になりました。完璧を目指して抱え込むより、未完成でも早く出して軌道修正するほうが前に進める。その感覚をつかめてからは、むしろやり切ろうという気持ちのほうが強くなっていきました。
服部:山本さんのコミュニケーションで印象的だったのは、「わからない」の伝え方の質ですね。「わからないです」の一言で終わるのではなく、「ここまでは分解できたけど、その先がわかっていません」というふうに、自分の理解がどこまで到達しているかを正確に示してくれる。そうすると、こちらも足りない部分だけを補えばいいので、会話が無駄なく前に進むんです。
倉橋:一方で、これは私自身の課題でもあるんですが、指導する側の伝え方が足りていないこともあります。説明して「わかりました!」で終わったのに、また同じことが起きる。それは相手が聞いていなかったのではなく、こちらが正しく伝えられていなかったということなんですよね。山本さんはそこを「わかるまで聞いてくれる」ので、何が伝わって何が伝わらなかったかをこちらも振り返れるし、自分の伝え方を改善するきっかけにもなる。正直、今もうまく伝えられているかなとずっと不安ですけど、お互いが「伝える努力」と「聞く努力」をし続けることでしかすれ違いは防げないんだなと実感しています。


成長に必要なのは「自分でやる前提」に立てるかどうか
ーー山本さん自身が「変わってきたな」と感じた瞬間を教えてください。
山本:最初は、クライアントに電話をかけること自体が怖かったんです。パートナーに対して自分の意見を伝えることにも抵抗がありました。
変われたきっかけは、地道にPDCAを回して、自分から一次情報を取りにいくことを徹底したことだと思います。それを繰り返すうちに、現在の状況や課題、次に何をすべきかが自然と頭に入るようになって、クライアントからの質問にもしっかり答えられるようになりました。根拠を持って答えられるようになっていったことで、少しずつ自信がついていったんだと思います。
もうひとつ大きかったのは、倉橋さんや服部さんが「失敗してもいい」と言ってくださったことです。どんなに困っても絶対に助けてくださるという安心感がありました。実際のミーティングで言葉に詰まってしまうことは今でもあるんですが、そういうときにさっと間に入ってフォローしてくださる。おかげで「まずは自分で打ち返せるところまではやってみよう」と思えるようになりました。
倉橋:小さな苦しみや喜びを一緒に経験することが、関係性を変えていくんですよね。成果が出なくてしんどい時期を共有して、やっと結果が出たときに一緒に喜ぶ。その積み重ねがコミュニケーションのハードルを下げてくれます。
山本:パートナーとも、成果が伸び悩んでいた時期からほぼ毎日やりとりするようになって、そこから一気に距離が縮まりました。しんどい局面を一緒に乗り越えた経験があるからこそ、遠慮なく話せるようになったんだと思います。
服部:今回の件を振り返って思うのは、「自分でやる前提」に立てるかどうかが、成長の速度を大きく左右するということです。自分で設計する、自分で分析する、自分で確認する。そのつもりで案件に向き合えば、必然的に情報を取りにいくようになるし、商品を実際に試してみるし、使っている人の声を直接聞きにいくようになる。そこまでやって初めて解像度が上がります。山本さんは今回、それを自然に体現してくれました。
a-worksという会社は、経験が浅くても本人に任せて、考える機会をつくります。ただ放り出すのではなく、伴走する体制は用意したうえで、自分の頭で考えることを求める。その環境のなかで、できることが増えていく実感を得られるかどうかが一番大事だと思っています。
倉橋:指導する側も指導される側も、最初はどちらも手探りなんですよね。やりながら一緒に学んでいくしかない。だからこそ、お互いが伝える努力と聞く努力をし続けること。それが結局、成果にも一番効いてくるんだなというのが、今回の案件を通じて強く実感したことです。
山本:「仕方ない」で止めずに、自分の動き方を変えてみる。相談できる相手は、自分から動けば広げられる。その感覚をつかめたことが、この取り組みを通じて得た大きな成長かもしれません。


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