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沿革ブログvol.3 今のa-worksとこれからの話

野山です。

沿革ブログの最終回です。第1回は創業から急成長まで、第2回では拡大の裏にあった歪みとビジネスモデル崩壊の話を書きました。

最終回は、2020年から現在までと、少し未来の話にも触れたいと思います。崩壊の後に何をやってきたのか、そして今のa-worksがどこに向かっているのか。一番書きたかった部分でもあり、一番言語化が難しい部分でもあります。

ずっと考えていた問いに、ようやく答えが見つかった

2019年にビジネスモデルが崩壊して、コストを削りながら次の一手を模索する日々が続いていた頃、ある人から一冊の本を薦められました。「野山さんが言っていることは、この本に書いてあることに近い」と。

それがセムコスタイルとの出会いです。セムコスタイルとは、ブラジルの企業セムコ社が実践してきた経営手法で、経営情報の徹底的な開示、従業員の自主性と信頼をベースにした意思決定、一人ひとりの才能を活かす組織運営を柱とした考え方です。トップダウンで管理するのではなく、情報と権限をオープンにすることで、メンバーが自律的に動ける組織を作る。

読んだ瞬間、「これだ」と思いました。

パナソニックに勤めていた頃から感じていた「情報が閉じていて、なぜそうなっているのか誰も説明できない」という違和感。組織コンサルを入れて失敗した2015年の経験。事業は伸びているのに人が辞めていく現実。「関わる人が豊かになる組織を、どうやったら作れるのか」という問いを、10年以上抱え続けてきました。

セムコスタイルの考え方は、その問いに対する答えそのものでした。しかも、理想論ではなく実際に機能している企業の事例として存在している。「自分がずっと探していたものは、すでに言語化されていたんだ」という感覚でした。

「これだ」と思ったらフルスイングする性格なので、中途半端にはやりませんでした。

経営数値の全社公開。誰もが意思決定のプロセスを理解できるようにする説明責任の仕組み。上から管理するのではなく、信頼をベースにしたマネジメント。組織のあり方を、根本から作り直しました。

同時に大きく変えたのが、採用の考え方です。人数を増やすことよりも、a-worksの文化や価値観と本当にフィットする人と出会うことを最優先にしました。

この話は2020年に公開した経営方針で詳しく書いています。あの記事で掲げた7つの経営方針は、公開から6年経った今もa-worksが大事にしている指針です。事業環境や組織の形が変わっても、判断に迷ったときに立ち返る基準になっています。

あの記事を読み返すと、最後にこんなことを書いています。

「関わってくれたみんなが幸せであり続けてほしい、ということ。」

当時「綺麗事じゃないですか」と言われたこともありましたが、あの時期に綺麗事を書く余裕なんてありませんでした。書けたのは、本気でそう思っていたからです。

立ち上げた新規事業は14。それらのすべてが失敗ではなく財産になった

組織を作り直すのと並行して、事業の再構築も進めていました。

主力事業が崩壊した以上、新しい収益の柱を見つけなければなりません。数年間で、14の新規事業を立ち上げました。

当然、ほとんどは失敗します。立ち上げて、検証して、見込みがないと判断したら撤退する。そしてまた別のことを始める。その繰り返しです。

このプロセスは、僕自身がそうでしたし、メンバーたちにとっても精神的にかなりきつかったと思います。新しい事業を立ち上げるたびにみんな巻き込まれるわけで、「また新しいことを始めるのか」という空気がなかったとは言いません。でも、一緒に考えてそのプロセスを走り抜けてくれたメンバーもたくさんいました。

ほとんどが失敗した、と言いつつも、失敗した事業から学んだことは山ほどあります。新規事業を通じて得たノウハウはもちろんのこと、「これはやらない」「ここにはリソースを割かない」という判断基準が、実体験として蓄積されていった点も、大きな財産になりました。そうして残ったものを磨き、形にしていくことで、少しずつ事業の方向性が定まっていきました。

a-worksのスタート地点は、アフィリエイトメディアの運用です。業界の構造で言えば、下流のほうだと思います。広告主がいて、ASPがいて、メディアがいる。僕たちはそこから事業を始めました。

その後、広告運用を手掛けるようになり、クリエイティブを制作するようになり、クライアントのEC戦略のコンサルティングを手がけるようになった。今はエンタープライズ規模のEC事業者に対して、UXの改善や購買体験の最適化を支援する仕事を手掛けています。

例えるなら、水流に逆らって下流から上流まで遡ってきた鮭とでもいいましょうか、Web広告領域において上下の両方を見てきた会社は、なかなかないと思います。

広告代理店という立場にいると、「広告を回して新規顧客を獲得すれば仕事は完了」という考え方に陥りがちです。でも僕たちは、それだけでは不十分だとずっと感じていました。広告で獲得した顧客がちゃんと定着しているか、クライアントの事業全体として利益が出ているか、広告費に依存しすぎない健全な成長ができているか。そこまで見なければ、本当の意味で価値を提供したことにはならない。その基準は創業時から変わっていません。ただ、下流から上流までの経験を積み重ねてきたことで、その考えを実現するための解像度がようやく上がってきた感覚があります。

2024年に策定した行動指針の中で、「感動基準の追求」「美しい逆張りを形に」「プロフェッショナルで、主体的であること」という3つの柱を掲げましたが、これを発信できたのも、下流から上流までの経験を通じて「自分たちは何で勝負するのか」が明確になってきたからだと思います。

「変化できること」が、a-worksの一番の強さ

これまでの18年間を振り返って、一番伝えたいのはこのことです。

a-worksは何度もビジネスモデルを変えてきました。アフィリエイトメディアの運用から始まって、広告代理店になり、自社プロダクトをつくり、コンサルティングに軸足を移し、今はマーケティングとシステムの統合型支援へと進化しようとしている。

事業モデルだけではなく、組織のあり方も何度も作り直してきました。外部コンサルの導入で失敗し、気合と根性で乗り切る時期を経て、信頼ベースの組織へと転換したから今があります。

こうやって書くと、「軸がないんじゃないか」と思われるかもしれません。でも、僕は逆だと思っています。

変わり続けてこられたのは、変わらない軸があるからです。

「関わる人の人生の意義を高める」。この経営目的だけは、一度もブレたことがありません。事業のやり方が変わっても、組織の形が変わっても、この目的に向かっているかどうかだけが判断基準でした。

変化を恐れない、のではなく、変化できること自体が強さなんだという確信があります。外部環境は常に変わる。検索エンジンのアルゴリズムも変わるし、市場構造も変わる。AIの進化で、この先もっと大きな変化が来るかもしれない。

でも、a-worksにとってそれは脅威ではなく機会です。少数精鋭で柔軟な組織を持っているからこそ、変化をそのまま自分たちの進化に変えていける。近年、AIを脅威に感じる風潮は根強いですが、AIが進化すればするほど僕たちはもっと進化できると思っています。

最後に、a-worksが取り組んでいる新しいソリューションの話を少しだけ。

EC事業者の課題を解決するには、マーケティングの知見だけでは足りません。システムの理解と実装力が同じレベルで必要です。逆にシステムだけ強くても、マーケティングの現場感がなければ的外れなものができてしまう。

現在のa-worksは、マーケティングとシステムの両方を一貫して扱える会社を目指しています。クライアントにとってわかりやすく、成果が積み上がり、一度構築すれば他社に簡単に置き換えられない。そして、a-worksがこれまで培ってきた経験がすべて活きる。

もちろん、まだ道半ばです。やるべきことは山ほどある。でも、実際にクライアント導入を進めるなかで、方向は間違っていないという手応えをしっかり感じています。そして何より、一緒にそこに向かってくれるメンバーがいることが本当にありがたいと思っています。

最後に。この先も変わり続けるこの会社がどうなるのか

3回に渡って、a-worksの18年間を振り返ってきました。

書いてみて改めて思うのは、「よくここまで来たな」ということと、「ここからが本番だな」ということです。何もないところから始めて、伸びて、壊れて、作り直して、今がある。でも今の状態が完成形ではまったくありません。

きっとこれからも、a-worksはいろいろ変わります。今やっていることが、3年後にはまったく違う形になっているかもしれない。でも「関わる人の人生の意義を高める」という目的だけは変わりません。

a-worksで働くことに興味を持ってくれた方がこの記事を読んでくれているとしたら、ひとつだけお伝えしたいことがあります。

a-worksは、安定した環境を提供する会社ではありません。経営目的の実現を軸に、常に変化し続ける会社です。でも、その変化の中で自分自身も変わっていきたいと思える人にとっては、これ以上ない環境だと思っています。

この3本の記事を通じて、a-worksがどんな会社なのか、少しでも伝わっていたら嬉しいです。

18年前に「関わる人が豊かになる仕事をしたい」と思って始めた会社は、今もその途上にいます。これからのa-worksが、どんなふうに変わっていくのか。自分自身、一番楽しみにしているのかもしれません。